ARITA

CHINA ON THE PARK

初代・深川忠次がじつに3年あまりをかけて完成させた、高さ2メートル以上にもなる大花瓶。色絵に加え金彩で文様を施した、もっとも困難な様式ともいわれる「金襴手」様式を用いるなど、すべて職人の手描きにより完成された繊細な作品は、ほかに類を見ないものとして高い評価を受けました。パリ万博では2本が対となり、日本館のエントランスの左右に飾られました。1904年にセントルイス万博にも出品され、最高賞を受賞。その際に1本がアメリカ合衆国政府に寄贈されました。

「忠次舘」の設計を担当したのは、建築家の故・白井晟一氏に師事した柿沼守利氏。吹き抜けになった高い天井には窓が設けられ、上方からの光がフロアをおだやかに照らします。時とともに移り変わる自然光によって、少しずつ変化する作品たちの表情にご注目ください。

展示販売されている深川製磁の器を使って、ホットサンドなどの軽食や自家製アップルパイ、紅茶、コーヒーをお楽しみいただけます。明治から受け継がれてきた作品群が並ぶ階下の空間と、吹き抜けでつながれた静謐な空気のなか、心休まるひとときをお過ごしください。